【解説記事#8】自己保身と逃避の心理学|なぜ“嘘の肩書”で人は安心しようとするのか?

今日のテーマ:なぜ人は“逃げることで自分を守る”のか?

「できないのに“できます”と言う」
「苦手な領域を避けるために肩書を変える」
――そんな“逃避と保身”の行動を見たこと、ありますよね。

人は、能力の不足を隠すためではなく、存在の不安を鎮めるために逃げる。

今回は「理系詐称講師I」を題材に、自己防衛と回避の心理構造を解説します。

💬 自己保身の根っこは「存在不安」

① “できない”を認めることは、存在の危機

自己保身的な人は、失敗を「人格の否定」と感じやすい。

だから「苦手」や「不得意」を直視できない。

代わりに“肩書”や“理屈”で自分を守る。

心理学ではこれを 自己防衛機制(defense mechanism) のひとつ、「合理化」と「逃避」として説明します。

A:「Iの“理系です~”は、自己紹介じゃなくて“自己防衛宣言”だったんです。」
B:「つまり“できない私”を消すための肩書操作ね。」

② 嘘をついているわけではなく、“信じたい防衛”

逃避行動の多くは、意図的な嘘ではありません。

脳が現実をねじ曲げてでも「安心できる自分像」を維持しようとするからです。

心理的には「認知的不協和の回避」。

自分の理想と現実がズレたとき、理想側に合わせて記憶を再構成してしまう。

A:「Iにとって“理系”は肩書じゃなく、不安を鎮める呪文だったんですね。」
B:「安心のためなら現実ごと変えるのが人間。」

🧩 逃避が連鎖する職場心理

① “逃げ得構造”がチームを壊す

自己保身型の人は、自分のストレスを軽減するために他人の負荷を増やす

結果、責任が連鎖的に転移し、チームが疲弊する。

A:「Iが逃げた分、Aが夜中まで授業を背負う。」
B:「そしてEが“生活が…”って泣く。もう逃避の連鎖装置だね。」

② 責任回避は“恥の恐怖”から生まれる

自己保身には「恥の回避」が強く関与します。

文化心理学的に、日本では「恥=社会的死」と感じる傾向が強いため、人は恥を避けるために“逃げ”を選びやすい。

能力不足より「恥をかくこと」の方が恐ろしい。

だから、嘘でも肩書を作り、自分を守る。

A:「“できません”と言える人は、恥を受け入れられる人なんですね。」
B:「つまり“正直さ”って、勇気よりも“耐性”の話か。」

🧠 自己保身タイプ3分類

タイプ行動パターン心理の核防衛の目的
回避型苦手を避け、責任を他人に転嫁不安回避自己崩壊の予防
肩書操作型肩書・立場で自分を守る承認欲自己価値の維持
合理化型言い訳・理屈で現実を調整認知的不協和心の整合性確保

A:「Iは“肩書操作型”の典型。肩書が自己防衛の装甲なんです。」
B:「つまり、あれは“名刺で鎧を作る人”。」

🧭 自己保身に巻き込まれないための観測スキル

① “肩書と中身”を切り離して観る

人の肩書をそのまま信じず、「どんな行動を取っているか」で観測する。

防衛的な人ほど、言葉と行動がズレるため、「何を言ってるか」より「何を避けてるか」を見るのがポイント。

② “防衛反応”を非難せず観測する

自己保身は、ほとんどが無意識。

だから「ずるい人」ではなく「不安な人」として観ることで、自分が巻き込まれるストレスが減ります。

A:「“逃げてるな”と思ったら、追わずに観測。」
B:「逃げの奥にあるのは、恥と恐怖の防衛本能なんだね。」

🪞 まとめ|逃げる人ほど“守りたい何か”がある

  • 逃避は不安の防衛
  • 肩書を変えるのは、自己否定の痛みを避けるため
  • 自己保身は悪意ではなく、未処理の恐怖の表れ

人は“できる自分”より“安心できる自分”を選ぶ。

だからこそ、観測者は「逃げ」を非難せず、静かに見届ける。

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